
屋形船といえば東京。東京の屋形船といえば、船内で飲食ができるという印象が強いですが、実は各地でも屋形船と呼ばれる船が航行されています。各地でも宴会や飲食を扱う屋形船も存在しますが、東京ほど数はありません。利用場所によっては屋形船という名称を使っていても、観光船や遊覧船の性格を持つものがあります。
TVの時代劇のワンシーンでよく屋形船を見かけますが、その歴史は実は江戸時代よりもっと古いようで、7世紀半ばから8世紀半ばにかけて詠まれた歌が収められている最古の歌集「万葉集」の中で、屋形船の原型が詠われているそうです。万葉の時代にも船の上で宴を催したり、歌を詠んだりと、貴族の遊びの一つとして楽しまれたようです。これが江戸時代になり、隅田川や江戸川などの治水整備が進み、水上交通も発展すると、武士や大名・裕福な町民などが、船を仕立てて楽しむようになり、贅沢な遊びとして流行しました。昭和に入り太平洋戦争が始まると、屋形船を楽しむこともできなくなり、戦後高度成長期にはコンクリートの堤防が築かれ、河川の水質汚染のため屋形船は衰退していきました。昭和50年後半になり、隅田川再生の取り組みによって河川や東京湾の水質が次第に改善されると屋形船も復活し、バブル時代の隆盛を経て現在に至っています。
屋形船の屋形とはもともとは雨風を防ぐために設置された船の屋根部分を指します。江戸時代の初頭には20名程度の比較的小型の船が主流でしたが、次第に有力大名や豪商などが自分の権力や財力を自慢するために、絢爛豪華で大型の自前の船を仕立てるようになりました。徳川幕府としてはこれら豪華さを競いあう屋形船に対して、目に余るものがあり、厳重な制限を設けたため、豪華な姿をした屋形船は次第に少なくなっていったようです。現在、屋形船を営業する業者を「船宿」といいます。「屋形船」の定員は15名から70名ほどを集客できるクラスの船が多いようです。中には最小定員10名ほどの小型の屋形船や、数は少ないですが100名ほどを収容できる大型の屋形船もあります。屋形船の中は、基本的には水洗トイレなどが完備され、カラオケや冷暖房、掘りごたつ式の座敷や部屋の外へ出られるスカイデッキなどお客のニーズに沿った独自の船内施設を設けている屋形船もあります。
屋形船というと、大人数で予約を取らなければならない、「貸切」というイメージがあります。たしかに屋形船は個人で楽しむには、広すぎます。また個人で借りた場合の料金も気になります。屋形船はほとんどの場合「貸切」となりますが、最近は「乗合」を行っている船宿も増えてきたようです。ただ、「貸切」とは違い、あらかじめ乗合日を決め、その上で予約を受けています。当日の予定乗船者数が定員に達しなければ、出航しない場合があるようなので、事前に船宿に確認するなど注意が必要です。最近では旅行会社などで屋形船を貸切り、個人参加者を募集するパッケージツアーなども計画・実施されているようです。これなら個人で借りるよりは料金的にもお得ですし、初めて屋形船に乗るなら安心して利用できます。
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